colorful life generator

~デジファブで日々を彩るブログ~

Raspberry Piの環境を整える。

 前回、ようやくRaspberry Piが起動できましたので、今回はRaspberry Piの環境をある程度、整えていきたいと思います。

 

1. 周辺機器との接続とパスワード設定

 ここでは、まずキーボードを接続し、無線LANとの接続やRaspberry Piのパスワード設定を行っていきたいと思います。

 

(1) Bluetoothキーボードとの接続

 キーボードはエレコムBluetoothキーボード(TK-FBP052WH)を準備しました。

 

www2.elecom.co.jp

  

 まずRaspberry Piのデスクトップ画面右上のBluetoothボタンから、"Add Device..." をクリックし、BluetoothバイスをSearchする状態にします。そして、キーボードをFn+Escキーを同時押しでペアリングモードにすると、Raspberry Pi側でデバイスが検出されます。さらにデバイスを選択すると、キーボードでのコードの入力を要求されるので、指示通りに入力すれば、接続完了となります。

 キーボードの設定に関しては、タスクバー左上のラズベリーボタンから "Raspberry Piの設定" を選択し、その中の "ローカライゼーション" タブの "キーボードの設定" をクリックします。そして、今回、用意したキーボードは日本語JISキーボードなので、色々なサイトを参考にした結果、下記のように設定しました。

 

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 これで問題なく入力できるかと思いましたが、Raspberry Piのデフォルト設定と思われるUK配列の状態からなぜか変わらず。また、日本語入力についてもそもそも「あ」の文字すら記号になってしまい、まったく入力できない状況となっていました。そこで、さらに色々なサイトに掲載されている設定画面のいくつかと比較していたところ、参考サイト[1]と "入力メソッドの設定" が異なることに気が付きました。

 

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 そこで入力メソッドの+ボタンで日本語のキーボード設定を追加し、最上段に移動。

 

f:id:sugarpug:20180604235823p:plain

 

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 そして、英語(UK)の設定は-ボタンで削除しました。

 

f:id:sugarpug:20180605000102p:plain

 

 さらに日本語入力メソッドの "Mozc" の欄をダブルクリックしたところ、そのキーボードの設定も下記のようなおかしい設定になっていました。

  

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 そこで、"Mozc" 使用時のキーボード設定も下記のように修正しました。

 

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 すんなりとはいきませんでしたが、これでキーボード設定がようやく完了し、無事、日本語入力もできるようになりました。

 

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【参考】Raspberry Pi でのスクリーンショット

 今回、キーボードとの接続の項目において、スクリーンショット画像をいくつか掲載しましたが、Raspberry Piでのスクリーンショットは "scrot" を使って行いました。この "scrot" は "Raspbian Stretch with Desktop" にはデフォルトでインストールされており、コマンドを入力すればすぐに使うことが可能です。主に下記のコマンドを使用しました(参考サイト[2])。

 

$ scrot           #  画面をスクリーンショット
$ scrot -s          #  撮影したいウインドウをスクリーンショット
$ scrot -s -b      #  ウインドウの枠(タイトル)もスクリーンショット
$ scrot -d       #  n秒後にスクリーンショット実行 

 

(2) 無線LANとの接続

 キーボードが接続できましたので、デスクトップ画面右上の無線LANのアイコンをクリックし、自宅のWi-Fiルーターと接続。ここは特に問題なく接続完了しました。

 

(3) Raspberry Piのパスワード変更

 そして、初期状態からパスワードを変更するため、タスクバー左上のラズベリーボタンから "Raspberry Piの設定" 選択し、"システム" のタブよりパスワードを変更をクリックし、新しいパスワードを入力しました。これでパスワード変更も完了です。

 

2.  ノートPCおよびスマートフォンからのVNC接続

 次に外部も含めて場所を選ばずにRaspberry Piを利用できるようにしておきたいということで、VNC(Virtual Netwark Computing)接続できるようにしたいと思います。 VNCに関しても、"Raspbian Stretch with Desktop" には "RealVNC Server" のソフトウェアがデフォルトでインストールされていますので、それを使いたいと思います(参考サイト[3-5])。

 まず、Raspberry Pi側の設定については、"Raspberry Piの設定" の画面の "インターフェース" タブを選択し、"VNC" の項目を "有効" にします。また、タスクバーの右上に出ている "RealVNC" のアイコンをクリックすると、"VNC Server" の状態が確認できるので、その中の "Connectivity" の欄に表示されているIPアドレス(ローカルIPアドレス)を確認します。

 次にノートPCからルーターの設定画面(私の場合はSoftbankルーター)を開き、ルーターIPアドレスおよびグローバルIPアドレス(WAN側IPアドレス)の確認と外部からのアクセス時のポート転送機能の設定(外部からのアクセス時にRaspberry PiのローカルIPアドレスに転送するように設定)を行います。グローバルIPアドレスは下記のサイトからも確認が可能です。

 

www.cman.jp

 

 そして、Raspberry Piに戻り、/etc/のディレクトリ内の "dhcpcd.conf" ファイルを開いて、下記のように固定IPアドレスの追記を行います。

  

interface wlan0
static ip_address=xxx.xxx.xxx.xxx # ローカルIPアドレス
static routers=xxx.xxx.xxx.xxx # ルーターのIPアドレス
static domain_name_servers=xxx.xxx.xxx.xxx # グローバルIPアドレス

 

 続いて、再びノートPCに戻り、ノートPC(Windows10)用に下記のサイトから "VNC Viewer" のソフトウェアをダウンロードし、インストールします。 iPhoneやAndroid向けにも "VNC Viewer" が出ていますので、下記のサイトのリンクやApp Storeなどを経由してのインストール可能です。私はiPhoneにも "VNC Viewer" をインストールしました。

 

www.realvnc.com

 

 さらに、"RealVNC" のユーザー登録を済ませた後、自宅の無線LAN内でのVNC接続が可能になるように "RealVNC" の "File > New connection..." からローカルIPアドレス、接続名(任意)、ユーザー名とパスワード(Raspberry Piのもの)を入力し、接続設定を作成します。また、外部のインターネットからも接続できるように、グローバルIPアドレスでの接続設定も作成します。これで、ノートPCとiPhoneからのVNC接続が可能になりました。

 ちなみに私は最初、ルーターのポート転送機能の設定をしていなかったため、下記のエラーがでてしまい、エラーの意味が理解できるまでに時間がかかり苦戦しました。

 

"VNC Server appears to be behind a NAT router with IP address xxx.xxx.xxx.xxx. 
You will need to configure that router to forward port 5900 to this computer before
you can connect to VNC Server over the Internet"

 

  これで、VNCの接続が可能となりましたが、セキュリティの設定にやや不安が残りますので、基本、VNCを利用しない時は、"Raspberry Piの設定" の画面の "インターフェース" タブのVNC" の項目を "無効" にしておくことにしました。今後、もう少しRaspberry Pi(UNIX)の使用に慣れてきたら、セキュリティ面を再考することにしようかと思います。

 

3.  ノートPCとのファイル共有

 最後にローカルエリア内のノートPCとデータのやり取りが簡単にできるようにWindowsマシンとファイル共有できるソフトウェアの "Samba" をインストールしたいと思います(参考サイト[6])。まずは、下記のapt-getコマンドで "Samba" をインストールしました。

 

$ sudo apt-get install samba

 

 そして、"/etc/samba/" のディレクトリ内の "smb.conf" ファイルを開き、"Share Definitions" のセクションに下記の内容を追記します。

  

#======================= Share Definitions =======================

#(省略)

[pi] # 共有フォルダ名(Windows上の表示名)
path = home/pi # 共有するフォルダのパス
read only = No # Yes:読み込みのみ, No:読み込み、書き込み可能
guest ok = Yes # Yes:ゲスト権限で接続
force user = pi # ファイル操作の実行ユーザー

  

 次に動作確認のためにapt-getで "checkconfig" コマンドをインストールします。

 

$ sudo apt-get install checkconfig

  

 そして、その "checkconfig" コマンドを実行し、一覧に "samba-ad-dc" の項目が  "on" と表示されていれば、正常に動作しているようです。さらにローカルエリア内のWindowsノートPCのエクスプローラ上でRaspberry PiのローカルIPアドレス(¥¥xxx.xxx.xxx.xxx)を入力すると、"pi" フォルダが表示されます。そのフォルダをクリックし、Raspberry Piのパスワードを入力すれば、ファイル共有が可能となります。これで、Rasberry Piとのデータのやり取りが簡単にできるようになりました。

 

 以上より、Raspberry Piの環境が少しずつですが整ってきましたので、次回から、Pythonのプログラミングをいよいよ開始していきたいと思います。

 

 

【参考サイト】

[1] IT女子のラズベリーパイ入門奮闘記 | Device Plus - デバプラ(アクセス日:2018/6/6)

[2]Raspberry Piのスクリーンショット | S2(アクセス日:2018/6/6)

[3]Raspberry Pi に VNC でアクセスする (2017/9版) - 自習室(アクセス日:2018/6/7)

[4][RaspberryPi] 外部からVNC接続してRaspberryPiを操作する - プログラミングとパンのくず(アクセス日:2018/6/7)

[5]Raspberry Pi Stretch に 固定IPアドレス wlan0 ver. | ひかるLOG(アクセス日:2018/6/7)

[6]Sambaを使用してファイルを共有する方法 - Raspberry Pi 3 & Python 開発ブログ☆彡(アクセス日:2018/6/7)

 

 

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Raspberry Pi始めました。

 さて、今回からは、つくるものが決まりましたので、それぞれの要素をこれから構築していきます。まずはシステムのコアとなるRaspberry Piから取り組んでいきたいと思います。

 

1. Raspberry Pi とは?

  Raspberry Piラズベリー・パイ)は英国のラズベリーパイ財団によって開発されているARMプロセッサを搭載したシングルボード・コンピュータです[1]。名刺サイズながら、SDカードスロット、USB、EthernetHDMIBluetoothなどの様々なポートが搭載されており、さらにSDカードからOSを起動することが可能となっています。また、ネットワーク接続も可能であるため、ネットワーク経由での操作も可能になります。そして、なんと言ってもそれらの機能を持ちつつ、5,000円程度で手に入れることができます。ひと昔前では考えられないコストですね。

 今回はネットワーク経由で天気予報の情報を取得する必要があるため、ネットワーク経由での情報取得が可能なRaspberry Piを中心にシステムの中心に据えます。

 

2. 必要なものを準備しよう。

 まずRaspberry Piを立ち上げるにあたり、以下のものを準備しました。

 

Raspberry Pi 3 model B(ケース付き)→ 本体

 

 

Raspberry Pi用電源セット(5V 5.0A 4USBポート)→ 電源ケーブル

 Raspberry  Pi 3は5V/2.5Aと消費電力が大きく、USBからの規格から外れるため、安定した駆動のためには、それを考慮して設計されたACアダプタとUSBケーブルが必要になります。

 

・micro SDカード → ストレージ/32GB 

 

・USBマウス/キーボード

 USBマウスを使わずにRaspberry Piの立ち上げをするのはかなり難易度が高いようなので、今回はUSBマウスを用意しました。キーボードはBluetoothのものを使います。

 

・ノートPC/LCDモニタ/HDMIケーブル/無線LANルーター(所有品を流用)

 

3. さあ、立ち上げ!

 ようやく必要なものが準備できましたので、Raspberry Piを以下の手順で立ち上げていきます。 今回の立ち上げにあたり、いくつかのブログを参考にさせていただきました[2, 3]。詳しい説明はリンク先をご参照お願いします。

 

(1) Raspberry Pi OSのダウンロード

 まず、Raspberry Pi OSを下記のサイトからノートPCにダウンロードします。

 

www.raspberrypi.org

 

 OSの種類としては、SDカードに専用ソフトで書き込んでRaspberry Piにセットすればそのまま使えるようになる "RASPBIAN" とインストーラー型でRaspberry Piの初期起動時にインストールが実行される "NOOBS" の2種類があるようです。"NOOBS" の方が初期起動時に時間がかかる(1時間弱?)ようでしたので、私は、"Raspbian" を選択しました。

 さらに "RASPBIAN" の中にもデスクトップ環境がある "RASPBIAN STRETCH WITH DESKTOP" とデスクトップ環境がない "RASPBIAN STRETCH LITE" の2種類がありましたが、「私が初心者であること」と「今後の汎用的に色々と利用していくこと」を考慮して、"RASPBIAN STRETCH WITH DESKTOP"(Version : April 2018)をダウンロードしました。

 

(2) SDカードのフォーマット

 次にSDカードにOSを書き込んでいくのですが、その前にSDカードをフォーマットする必要があるようです。SDカードのフォーマット用のソフトウェア(SDフォーマッター)は下記のサイトから入手しました。2018/5/28時点ではver. 5.0でした。

 

www.sdcard.org

 

 SDフォーマッター起動後はフォーマットを行うSDカードがセットされているドライブを選択し、クイックフォーマットを選択し、フォーマットを実行すれば、OKです。

 

(3) OSイメージファイルの書き込み

 続いて、フォーマットしたSDカードにOSイメージファイルを書き込んでいく作業に移ります。SDカードへのOSイメージファイルの書き込みにも専用のソフトウェアが必要になります。そのソフトウェアである "Win 32 Disk Imager" を下記のサイトより入手します。ダウンロードするファイルは "win32diskimager-1.0.0-insatll.exe" です。

 

 "Win 32 Disk Imager"  https://sourceforge.net/projects/win32diskimager/ 

 

 インストール後、"Win 32 Disk Imager" を起動し、書き込むOSイメージファイル(私の場合は、"2018-04-18-raspbian-stretch.img" )、SDカードのドライブを選択して、"Write" で書き込みます。これでようやくOSの準備が完了しました。

 

(4)  Raspberry Pi 起動

  そして、OSイメージファイルを書き込んだSDカードをRaspberry Pi 3にセットして、電源用のUSBケーブル、USBマウス、LCDモニタにつながったHDMIケーブルをすべて繋いで電源を起動します。しばらくすると下記の画面が出てきて、起動完了です。

 

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 まずは、環境が英語環境となっていますので、それを日本語環境に変更していきたいと思います。一番左上のラズベリーのアイコンから "Preferences > Raspberry Pi Configration" と進みます。そして、"Localization" のタブを選択し、"Set Locale..." をクリックします。さらに "Language" の中から日本語 " ja (Japanese)" を選択して、"OK" をクリックします。

 また、"Set Timezone..." もクリックして、"Area" から "Asia"、"Location" から "Tokyo" を選択して、こちらもOKをクリックします。そして、再度、"OK" をクリックすると、"Would you like to reboot now?" と聞かれますので、"Yes" を選択すれば、自動的に再起動が始まり、再起動後は日本語環境となります。これでようやくRasberry Piの立ち上げが完了しました。次回は、今後のデバイスの作成を進めていく上で必要となるアプリケーションを導入していきたいと思います。

 

 

【参考文献/サイト】

[1]Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/Raspberry_Pi(アクセス日:2018/5/28)

[2]IT女子のラズベリーパイ入門奮闘記 | Device Plus - デバプラ(アクセス日:2018/5/30)

[3]Raspberry Pi 3(RASPBIAN JESSIE)OSインストールから初期設定【セットアップ前編 】 - 環境構築メモ(アクセス日:2018/5/30)

 

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デジファブ生活、最初の一歩

1.  世界観を思い描こう!

 フリーな状態で何を創るか考える、普段からそういうことをしていないと意外とこれが難しいのです。仕事での開発だと何かと制約条件があるので、その制約条件を切り口に色々とアイデアを考えれば良いのですが、それが無くなると結構、悩んでしまいます。こういうのは子供の時だと(といっても小学校に入る前くらいでしょうか?)、どんどんアイデアが出てきてたような気がするのですが、なかなか難しいところです。小学校の時の自由研究をどうしようか、毎年、苦戦していたのを今回、思い出しました。

 さて、あれこれ悩んでいる間に時間が過ぎていくのも勿体無いですし、デジファブ生活を始めるという決心が早くも鈍りそうです。こういうときはまずは「世界観」を描くのが重要と以前、本で読んだのを思い出し[1]、まずは自分の中に「世界観」みたいなものを思い描こうということにしました。複数メンバーがいるときには、ブレインストーミングやら、ワールドカフェやら手法がありますが、今は一人です。そこで、過去に近未来的なワクワクしたコンテンツに触れることにしました。そして、選んだのが「電脳コイル」。全26話を2日間くらいで一気に視聴しました。デンスケとの別れに涙しつつ、何か近未来的なものを作りたいという気分は盛り上がりましたが、いやいや「電脳メガネ」はさすがに作れない。。。一瞬、JINS MEME[2]でも買って、アプリ開発でもしてみようかとも思いましたが、最終的には、バーチャルなテクノロジーが生活に溶け込んでいる「電脳コイル」の世界から刺激を受けて、下記の2つの世界観を持つモノを作ろうということに落ち着きました。

 

  (1)   日常に自然にテクノロジーが溶け込んでいる世界

  (2)   モノとのコミュニケーション

 

 そして、それら2つの世界観を結びつけ、過去の遠い記憶を紐解いた結果、辿り着いたのが「アンビエント」のキーワードです。

 

2.  アンビエント・メディア

 この「アンビエント」には「周囲の」や「環境の」といった意味があり、環境音楽のジャンルを指す名称として使われているのを耳にした方もいるのではないでしょうか。一方で、MITのメディア・ラボの石井裕教授による人とデジタル情報、物理環境のシームレスなインターフェースを探求する「タンジブル・ビット」の研究の中で生まれた新しい表示装置のコンセプトとして、この「アンビエント」のキーワードが用いられています。そのコンセプトは「アンビエント・メディア」や「アンビエント・ディスプレー」と表現されているのですが、ある特定のシンプルな情報を周囲の光や音、空気の流れ、水の動きなどを利用して表現することで、人間の周辺感覚を生かしながら、情報の「気配」を感じさせるという表示装置になります[3, 4]。

 具体的には、このコンセプトが実際に商品化されたモノとしては、株式情報のアップダウン、降水確率、花粉の飛来量などを色の変化として伝える「アンビエントオーブ」が有名です[5]。さらに、最近でも、auから雨の日に青く光るIoT傘立て「Umbrella stand」やゴミの日を知らせてくれるIoTゴミ箱「Dust bin」を発売されていますが、これらもまさに「アンビエント・メディア」と言えると思います[6]。

 この「アンビエント・メディア」は実現したいモノの世界観とも一致していますし、それを自分のデザインで作ってみるというのはすごくワクワクしてきます。ということで、最初に作るモノとして、この「アンビエント・メディア」を作ることにして、表示する情報はまずはシンプルに「天気」にすることに決めました。また、「天気」の情報提示は、ホタルのような優しい光とその色で表現できるモノを今のところイメージしています。

 

3.  実現方法を考える

 さて、天気をアンビエントな感じで知らせてくれるデバイスを作ることにしましたが、大まかに以下のような実現方法を考えています。

 

【準備するもの】

   Raspberry Pimodel B,  Arduino Uno,  LEDなど

 

【作成するもの】

   ボディ, LED点灯回路, 天気情報取得プログラム(Python

 

【学習すること】

   Pythonのプログラミング, 3Dモデリング

  

【想定動作フロー】

   (1)  Raspberry Pi天気情報を取得 

   (2)  天気情報を信号に変換し、Bluetoothで送信

   (3)  Arduinoで信号を受信

   (4)  LEDを点灯

 

【システム概要】

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 色々と学ぶことも多いので、半年間での完成を目標にトライできればと思います。

 

【参考文献/サイト】

[1] ピーター・チェックランド, ジム・スクールズ著 妹尾 堅一郎訳「ソフト・システムズ方法論」(有斐閣)1994年

[2] JINS MEME  https://jins-meme.com/ja/(アクセス日:2018/5/23)

[3] ICC Report   http://www.ntticc.or.jp/pub/ic_mag/ic034/html/189.html(アクセス日:2018/5/23)

[4] ASCII.jp:アンビエントディスプレー|石井裕の“デジタルの感触”(アクセス日:2018/5/23)

[5] Ambient Devices  http://www.ambientdevices.com/about/consumer-devices(アクセス日:2018/5/23)

[6]雨の日は青く光るIoT傘立て「Umbrella stand」auが12月1日発売。収集日を知らせるゴミ箱も同日 - Engadget 日本版(アクセス日:2018/5/23)

 

ソフト・システムズ方法論

ソフト・システムズ方法論

 

  

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「つくりかたの未来」を創る側へ

1.  デジタルファブリケーションのパーソナル化

 現在、作るモノの構想と準備を進めつつ、デジファブ生活を始めるにあたり、通勤時間などの合い間に幾つかのデジタルファブリケーションに関する書籍を読んでいます。今回、まず手始めに読んだのが「FabLife-デジタルファブリケーションから生まれる『つくりかたの未来』」で、著者は新しいものづくりの世界的ネットワークであるファブラボの日本における発起人であり、2011年に「ファブラボ鎌倉」を開設した田中浩也氏[1]。(田中氏は現在、慶應義塾大学環境情報学部の教授。)

 私は、その著書を読んで、田中氏の考える「デジタルファブリケーション」を下記に示すのように解釈しました。

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 「デジタルファブリケーション」とは、コンピュータ上のデジタルデータを3Dプリンタやカッティングマシン、ミリングマシンなどの「コンピュータ周辺機器としての工作機械」によって、素材を加工する手法である。

 その「デジタルファブリケーション」が下記に挙げる2つの動きを両輪として、その技術の「つかい方」が「パーソナル化」(=「パーソナルファブリケーション」)されて行く。

 (1)  デジタル工作機械の小型化・コンパクト化による「デスクトップ化」

       =「デジタル工作機械の個人化」

 (2)  ネット上と物理的な「場」での「つくるための知識の交換と共有」

  (物理的な「場」=「ファブラボ」)

 そして、「パーソナルファブリケーション」は、個人や少人数のチームでも、より多くの創造的な仕事を実現可能にする。また、その「パーソナルファブリケーション」は「大量生産・大量消費・大量破棄」と「つくる人と使う人の極端な分断」という2つの問題をもたらした20世紀型の製造業を、教育であり、産業であり、芸術でもあるといった「総合性」や「多義性」をもつ、産業革命以前の「ものづくり」の時代の精神を現代の目でとらえ返し、今の技術環境の上にアップデートしていくものになる。

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 私としては、何となくデジファブを「ファブリケーション×ソーシャル」を軸にした世界と考えてましたが、これにデザイン(アート)を加えた「ファブリケーション×デザイン×ソーシャル」の3つが組み合わさった世界なのかなと感じました。モノのデザインを「選ぶ」ものから「創る」ものへと変えることのできる、職人の工房のような環境がオープン化された未来が、今、一人一人の目の前にある、そんな感じでしょうか。そして、そこを自分の「しごと」の場、「あそび」の場、そして、「まなび」の場にすることができたら、、、と考えてしまいます。とにかく行動あるのみですね。

 

2. 「つくりかたの未来」はどうなるか

 さらに「FabLife」の中で田中氏はファブのデジタル化ならではの意味として、以下の4つを挙げています。

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  (1)   ラピットプロトタイピングからリピートプロトタイピングへ

  (2)   デジタル・マテリアリティとテクスチャリティ

  (3)   オープンソース

  (4)   適量生産・変量生産

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 私が特に気になるのは、リピート・プロトタイピングです。即座にフィードバックがなされる環境では、試行錯誤の繰り返しにこそ、価値があるということでしょうか。

 これまでの私の仕事では、開発コストの抑制のために、できる限り失敗をしないように事前の想定や仮説構築にかなりの時間をかけていましたが、低コストで高度なことが短期間でできるようになった今、この考え方は変えなければならないのだろうと思います。子供の時の工作のようにスクラップ&ビルドを繰り返す、この好奇心と行動力が、「しごと」と「まなび」と「あそび」を近づけるのかもしれないですね。その他の3つに関しては、私にとっては実際に手を動かしてからという感じですね。それらを考える領域に早く到達したいところです。

 そして、その流れの延長線上には、田中氏が描いている資源循環型のエコロジカル・ファブリケーションやビット(情報)のプログラミングから「プログラムできる物質(Programmable Matter)」によるアトム(物質)のプログラミングへの移行が実現される未来があるのかもしれないし、そのときは必ず「創る側」でいようと思います。

 

3.「ファブラボ」に行ってみたい

 最後は、モノを「つくるための知識の交換と共有」の物理的な「場」となる「ファブラボ」について。この「ファブラボ」とても気になります。

 田中氏が開設メンバーの一人となっているファブラボ鎌倉[2]は、2015年に運営形態が変わったようですが、今でも様々なイベントが開催されているようです。その中では、現地での「はじめてのFABLAB講座」やオンライン講座の「Fusion 360で学ぶ3Dモデリング」あたりを受講してみたいところです。都内だと神田錦町[3]にあるようなので、こちらも将来的には利用してみたいですね。

  

【参考資料/サイト】

[1] 田中 浩也著「FabLife-デジタルファブリケーションから生まれる『つくりかたの未来』」(オライリージャパン)2012年

[2] FabLab Kamakura  URL:  https://www.fablabkamakura.com/(アクセス日: 2018/5/18)

[3] FabLab Kanda Nishikicho  URL:  http://fablabkn.tokyo/(アクセス日: 2018/5/18)

 

FabLife ―デジタルファブリケーションから生まれる「つくりかたの未来」 (Make: Japan Books)

FabLife ―デジタルファブリケーションから生まれる「つくりかたの未来」 (Make: Japan Books)

 

 

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Let’s デジファブ生活!

1.  モノクロームな未来

 私はこれまで幾つかのモノづくり企業でエンジニアとして研究・開発にかなりの時間を費やしてきました。しかしながら、世の中に新しいモノを送り出せずにもう10年以上が過ぎてしまいました。また、企業の枠組みの中だけでほとんどの時間を過ごしている状況です。自分はそれなりに研究・開発に頑張ってきていて、主体性を持ったプレーヤーのつもりでいましたが、結果を出せていない現状から、実際は盤上の単なるコマ、もしくは、意見のない傍観者だったのではないだろうか、と感じる今日この頃。この先、モチベーションが上がらないどころか、仕事の時間がどんどん単調でモノクロームになっていく未来が想像されます。このままで良いのかと自問自答する日々です。

 

2.  フラット化する世界

 昨今の日本の電機メーカーとシンクロしているかのように自分の仕事の時間の流れが澱んでいく一方で、世の中の変化はどんどん加速しています。Amazon楽天市場などのECサイト、音楽、映像、書籍などのコンテンツのインターネット配信により、モノの流れは大きく変化して、クリエイターとユーザー間の直接の取引も容易になりつつあります。また、TwitterFacebookなどに代表されるSNSの普及でコミュニケーションのカタチやメディアの在り方も大きく変わって、一個人の情報発信が大きなムーブメントを起こすことも難しくない世の中になっています。産業革命後の大企業やマスメディアなどの「マス」の力が圧倒的だった時代から、再び「個」の力が重要となる時代に戻りつつあるのではないでしょうか。ただ、産業革命以前と違っているのは、そのフィールドとなる『世の中』が「地域」や日本とかの「国」の単位ではなく、真の意味での「世界」という単位になっているということです。世界中の「個」の力がお互いを高めあったり、コラボレーションしたりできるフラットな環境が整っているとも言えます。さらにその動きはモノづくりの領域でも既に始まっています。

 

3.  メイカーズムーブメント

 これまでモノづくりの世界は一部のエンジニア・職人に委ねられている、すべての人々に開かれていない領域でした。しかし、今や自らPC上でデザインした「モノ」の情報をインターネットを介してアップロードすれば、容易にその「モノ」を作ってもらうことが可能となる、開かれた領域になってきています。その流れを作ったのは、カスタマイズされた「モノ」を作成するコストを大幅に低下させた3Dプリンタの登場だと思います。また、ArduinoRaspberry Piなどの低価格なハードウェア・プラットフォームの存在も大きいと言えます。そして、これらの動きは「メイカーズムーブメント」となってすべての人々にモノづくりメイカーとして小規模でもグローバルになれる能力をもたらしています。

 世界的ベストセラーの『フリー』やロングテール』の著者であるクリス・アンダーソンはその著書『メイカーズ』の中でこのムーブメントを「新産業革命」であり、「新しい時代の家内工業への回帰」と称しています[1]。また、20世紀後半から始まった情報の時代におけるパーソナルコンピュータの開発、インターネット、ウェブの出現と続く流れは、製造業が民主化されることで「産業」革命に至るとまで述べています。まさに現在、モノづくりの世界も大きな転換期の最中にあると言えます。そう考えると非常にワクワクできる環境が、今、目の前にあるのではないでしょうか。

 

4.  デジタルファブリケーションの世界へ

 もう傍観者ではいられない。自分もメイカーズムーブメントに飛び込みたい。「電子工作なんて、仕事で回路にちょっと配線をはんだ付けしたくらい。プログラムもExcelのマクロをVBAで書いているくらいでほぼ初心者だから、今からやるのは大変だよね、、、」なんて言い訳するのはもう止めにします。3Dモデリングだってフリーソフトがあるらしいですし、お金は多少かかりますが、3Dプリンタによる造形もどこかに依頼すればよい世界になりました。さあ、プレーヤーの側へ!未来をカラフルに彩っていきます。

 

5.  ブログの位置づけ

 さて、だいぶ前置きが長くなりましたが、「とにかく、やってみよう!」ということで、デジファブ生活を始めます。ただ、実行したこと、作ったモノ、学んだこと、考えたことなどをアウトプットする場が必要だと思うのでこのブログも始めます。日々を彩るモノやコトを生み出していく場という意味を込めて、ブログの名前は「colorful life generator」にしました。どこまで続くかわかりませんが、どんどんアウトプットするブログにできればと思いますので、よろしくお願いします!

 

【参考資料】

[1]クリス・アンダーソン著、関美和訳「MAKERS  21世紀の産業革命が始まる」(NHK出版)2012年

MAKERS 21世紀の産業革命が始まる

MAKERS 21世紀の産業革命が始まる

 

  

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